狭小住宅で快適な暮らしを実現する間取りのアイデアと工夫とは? - ハウスジャパン

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2024.07.24 UP

狭小住宅で快適な暮らしを実現する間取りのアイデアと工夫とは?

狭くて小さな土地でも家を建てることができるのが狭小住宅の最大のメリットです。「狭く感じるのでは?」「使いづらくない?」と不安に感じる方もいるかもしれませんが、間取りを工夫したり、アイデアを加えたりすることで快適な暮らしが実現します。

そこで今回のコラムでは、狭小住宅のメリットとデメリットを紹介しつつ、間取りに取り入れたいアイデアや工夫をいくつか紹介していきます。注意点も合わせて解説するので、狭小住宅を検討中の方はぜひ参考にしてください。

目次

狭小住宅とは?

狭小住宅とは、読んで字のごとく狭くて小さい狭小地に建てる住宅のことです。狭小住宅には法律上の定義はありませんが、時代とともに狭小の感覚も小さくなっているようで、かつては30坪程度だったのが、現在では15坪(約50㎡)や20坪(約66㎡)程度の土地に建てる一軒家を狭小住宅と指すのが一般的です。

都市部などでは土地価格が上昇しており、広い土地を売り出しても買い手がつかないケースが考えられます。そのため、例えば50坪の土地を売却する場合に、15坪、15坪、20坪などと分割して売却するケースがあり、狭小地は都市部を中心に増えていると考えられます。

狭小住宅を建てるメリット

狭い土地に建てる狭小住宅には、狭小住宅ならではのメリットがあります。代表的な3つのメリットについて紹介します。

土地代金が安くなる

狭小住宅の大きなメリットは、土地の購入費用が抑えられることです。一軒家を建てるのに必要な土地の広さは30坪〜60坪程度が一般的ですが、狭小地に建てるのであれば土地代は半分程度の金額で購入できることが大半です。

土地の購入費用が抑えられることで、二次的なメリットもあります。例えば、人気エリアや駅近の好立地の土地を購入できる可能性が高まることです。利便性の高い土地の価格は高額になりがちですが、狭小地なら手が届く土地が見つけられるかもしれません。

また、土地代金が抑えられた分を建築費用に回すといったことも可能です。ユニットバスやトイレのグレードを上げたり、間取り・設計を工夫したりすることができます。他にも、自動車を買い替える、子どもの教育費用に回す、引っ越し後は何かと費用がかかるため残しておく、ということもできます。

光熱費を抑えられる

狭小住宅は、コンパクトな設計になるのが一般的です。部屋と部屋が近い上に、長い廊下など無駄なスペースが生まれにくくなるため、不要な電気を使うことも少なくなると想定できます。

また、部屋の広さに合わせてエアコンや暖房器具などを選ぶため、狭小住宅の場合は大きな設備は不要と考えられます。そのため冷暖房器具の購入費やランニングコストを抑えることができます。

納税額が低くなる

一軒家を所有していると固定資産税・都市計画税を毎年納税する義務がありますが、どちらも建物および土地の広さによって税額が決まります。また、200㎡以下の土地は「小規模住宅用地」に分類されるため、固定資産税・都市計画税の軽減税率の対象になっています。そのため狭小住宅の場合は、納める税金が低く抑えられるというメリットがあります。

そのほか、移転登記などを行う場合に必要な登録免許税も、固定資産税評価額をもとに計算するため、狭小住宅の場合は一般的な住宅より税額は低くなります。

 

狭小住宅を建てる際のデメリット

メリットがある一方、狭小住宅にはデメリットもあります。代表的な3つのデメリットについて解説します。

設計が難しい

狭小住宅を建てるには土地の広さに制約があり、設計にさまざまな工夫が必要になります。室内の空間や動線、眺望や日当たりなどもさまざまな角度から検証しながら設計をするため、狭小住宅に関する知識や経験のあるハウスメーカーに依頼することが重要になります。

工事が難しい

狭小住宅のデメリットは、工事のしにくさにもあります。土地が狭いため、建築資材を搬入するトラックやクレーン車、コンクリートミキサー車などの工事車両が入りにくい可能性があります。建築資材を保管しておく場所も少なく、搬入に時間がかかり、一般的な一戸建て住宅の建築工事より工期が長くなることも考えられます。

住宅ローン控除が受けられない可能性もある

住宅ローンを組んでいる方は、確定申告などで住宅ローン控除を活用することができます。住宅ローンの残高に応じて所得税の納税額が低くなるため、大きなメリットとなります。しかし、控除が適用になるのは、床面積が40㎡以上(合計所得が1,000万円以下)または50㎡以上(合計所得が3,000万円以下)となっています。つまり、適用範囲より狭い狭小住宅では、住宅ローン控除の適用にならないのです。

また、各金融機関では住宅ローンを組む際に土地や建物に抵当権を設定します。しかし、金融機関によっては土地が狭すぎたり、建物が小さかったりすると評価が難しいとして住宅ローン審査の際に不利になることもあります。そのため、住宅ローンを申し込む場合は、金融機関の適用条件なども事前に調べた上で行うようにしましょう。

 

狭小住宅に取り入れたい間取りのアイデア・工夫

狭小住宅にしてみたものの、住み始めてみたら窮屈な生活を強いられることも少なくありません。そこで狭小住宅でも狭さや、暮らしにくさを感じないような間取りにする必要があります。この項目では、狭小住宅に取り入れたい9つのアイデア・工夫を紹介しましょう。

なるべく部屋を区切らない

迷路の中にいると、壁が目の前にあり圧迫感を感じてしまいます。狭小住宅でも同様に壁が近いと圧迫されているように感じることになります。そのため狭小住宅の場合は、壁を作らない、部屋を区切らないようにするのがベターです。ワンフロアに1部屋、あるいはオープンスペースを設けるなどで開放的な空間を目指しましょう。

しかし、子どもが成長するなどで、後から間仕切りが必要になることもあります。そうした場合に区切ることができるよう、可動式の間仕切り、ルームカーテンなどで仕切れるようにしておくのも一つの方法です。また、壁を設ける場合も、くもりガラスや半透明のシースルーのものなどを用いて圧迫感を和らげる工夫も検討しましょう。

吹き抜けやスキップフロアを設ける

フロアの天井が高いと開放感が感じられ、部屋が広く感じます。可能な限り天井を高くするようにしましょう。玄関やリビングなどに吹き抜けを設けるのもアイデアの一つです。空間を有効活用することができるため、吹き抜けのあるスペースにスキップフロアやロフトなどを設けるのもおすすめです。

フロアの中に高低差が生まれるため、目線の移動ができて視野も広がるメリットもあります。階段に蹴込み板のないスケルトン階段を用いると、視線が抜けるためより開放的になります。

空間にメリハリをつける

メリハリをつけることでも空間を広く見せることができます。例えば、高天井や勾配天井で高低差による広がりを強調したり、構造体である梁をあえて見せる「あらわし梁」にしたり、天井の中央部分を高くする「折り上げ天井」にしたりと、設計上空間にメリハリをつくるアイデアはいくつもあります。設計の際に、担当者に確認するといいでしょう。

天窓や高窓を設ける

視線の先に窓や外部空間があると、部屋を広く見せることができます。しかし、狭小住宅の場合、隣の家との距離が近いこともあり、隣の家の壁が見えることで反対に圧迫感を感じる可能性もあります。

その場合のアイデアとして覚えておきたいのが、天窓や高窓を設けることです。隣の家からの影響を受けない高い位置や天井に窓を設けることで視線が抜ける場所ができる上に、室内に自然光を多く取り入れることもできます。

デッドスペースを活用する

部屋の間取りを構築していくにはデッドスペースが生まれるものですが、うまく活用することで無駄なスペースを作らないことが可能です。例えば、階段やキッチンの下、トイレや洗面所に空間が空いていれば収納スペースにしたり、棚を設けたりできます。廊下などの天井に近いところに空間が空いていれば、洗濯物を干すスペースに活用すると、無駄なスペースではなくなります。

室内の色を明るめのカラーで統一する

室内を広く見せるには、壁紙やフローリングなどの色も工夫しましょう。黒やグレーなどの暗い色を採用すると室内に圧迫感を与えてしまうため、白系やクリーム色などの明るい色で統一するのがおすすめです。個人的な好みもありますが、例えばフローリングの板もダーク系の色ではなく、ライトな色にすることで室内を明るくすることができます。

引き戸を活用する

部屋のドアには引き戸と開き戸がありますが、引き戸を多用することで空間を広く使えるようになります。反対に開き戸にすると、家具の置き場に困るケースもあり、室内のレイアウトの自由度が下がってしまいます。

また、ドアを設ける際は、ガラス戸や明かり取りの付いたドアなどを選ぶと、視線が抜けるため部屋が広く見えます。

地下室を作る

狭小地では建物を上に伸ばすことで広さを確保する方法がよくとられますが、地中に伸ばすこともできます。例えば、地下室を設けて居住スペースを広く取ることができます。ホームシアターや楽器を演奏するスペースにするほか、物置などの収納にするのもおすすめです。

床下収納を作る

地下室まで必要ないという場合は、床下に収納スペースを設けるのはいかがでしょうか。キッチンの床下などにスペースがあるほか、ウォークインクローゼットの下、和室の畳の下などにも収納が設けられそうなスペースがあります。これらを活用して収納スペースの容量を拡大することで、部屋の中の荷物が少なくなり、広さを感じられるようになります。

 

狭小住宅を建てる際の注意点

狭小住宅を建てる際の間取りのポイントを紹介したところで、次は注意点についても確認しましょう。代表的な8つの注意点を解説します。

耐震性を高める

狭小住宅は狭い敷地に建てるため、縦に空間を取ることが多く、お家の強度を上げる必要があります。

一般的な木造住宅では筋交いを用いた耐力壁にするほか、基礎の強度を上げるなどして耐震性を上げていく方法があります。そのため、建築コストが若干高めになる可能性もあります。

風通し・日当たりにも工夫を

快適な暮らしに欠かせない風通しや日当たりですが、狭小住宅の場合、近隣との建物が近いということもあり、風通しや日当たりが十分ではないケースがあります。特に1階は日差しが届きにくいため、前述したように吹き抜けにしたり、高窓や天窓から日差しが入ったりするような工夫が必要です。また、2階や3階に家族が集まるリビングを設置するといったような工夫も考えられます。

一度家を建ててしまうと、隣の家がなくならない以外、風通しや日当たりは改善しないものです。設計の段階で十分に確認しましょう。

防犯対策は隙がないように

狭小住宅は、隣の家との距離が近くなるケースが多く、死角になりやすい場所が多くできてしまいます。犯罪が起きても気づきづらいことがあるため、防犯対策にも気をつけましょう。

1階や2階の窓を防犯ガラスにしたり、シャッターを設置したりするほか、防犯カメラを設置するのもいいでしょう。また、犯罪を抑制するには、人感センサー付きのライトやアラームなどの設置も検討しましょう。敷地内に不審者が侵入した際に効果的です。

防音・遮音対策を適切に行う

隣の住宅との距離が近いため、防音や遮音にも配慮が必要です。隣の家からの音や、目の前の道路からの音も意外と気になるものです。

代表的なのは防音効果に優れた窓です。複層になっているペアガラスに加えて、二重窓にするとより効果的です。換気扇などの開口部の音漏れ防止対策のほか、内壁に吸音材を設置するなどの方法もあります。

プライバシーへの配慮も忘れずに

隣の家と距離が近い場合、プライバシーへの配慮も欠かせません。窓や玄関ドアの位置によっては、周囲の家の人の視線も目に入ってしまいます。狭小住宅の失敗例として、窓を開放することができず空気の入れ替えができない、洗濯物が干せないといった事例もあります。ストレスを感じる要因になってしまうため、設計を工夫してプライバシーへの影響がないようにしましょう。

建ぺい率や容積率の確認を

自分の所有地だからといって、どのような建物を建てても良いというわけではありません。都市計画法で決められた用途地域によって、それぞれ建てられる建物の種類や用途などが定められています。

また、狭小地で特に注意したいのが建ぺい率と容積率です。建ぺい率とは敷地面積に対して建てられる建築面積(建物を真上から見た面積)の割合のことで、容積率とは敷地面積に対して建てられる延床面積の割合のことです。例えば、敷地面積が200㎡の土地の建ぺい率が60%、容積率が200%の場合、建築面積は120㎡まで、延床面積は400㎡までの建物にしなければなりません。

このように土地の広さに対する制限があるため、理想通りの建物を建てられない可能性があります。そのため、土地の用途地域はもちろん、建ぺい率や容積率を事前に調べ、どのくらいの大きさの建物が建てられるのか確認しておきましょう。

建物の高さにも注意を

土地には用途地域が定められていると前述しましたが、例えば第一種・第二種低層住居専用地域では「絶対高さ制限」によって、建物の高さが10mまたは12mに制限されています。そのため3階か4階程度までしか建てられないことになります。

そのほか、隣家の日照権を確保するなどの目的で、「道路斜線制限」「隣地斜線制限」「北側斜線制限」「日影規制」といった建物の高さに係る制限があります。前面道路の幅との関係などで高さが制限されるため、これらの制限についても事前に確認することが大切です。

予算オーバーにならないように

狭小住宅は、狭い土地に3階建てといったように特徴的な住宅になります。コンパクトな住宅になるため建築コストが低く抑えられそうなイメージがありますが、工期が長引いたり、工事の難易度が高かったりするということもあり、実は建築コストが高くなる傾向があります。

そのため、予算を多めに見積もっておき、さらに予算オーバーにならないようハウスメーカーと費用の確認をしながら進めることが大切です。

 

まとめ

狭小住宅は狭くて使いづらいというイメージがありますが、駅近など利便性の高い土地を手に入れることができるなどメリットも豊富です。また、アイデアや工夫によって土地の狭さを感じさせない広がりのある空間にすることができます。今回はアイデアを9つ紹介しました。

狭小地でも快適な住宅にするために、狭小住宅に関する知識と実績があるハウスメーカーを見つけ、悔いの残らない家づくりをしましょう。

マーケティングチーム

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